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咲き添はん所の野辺にあらばやは
萩より外の花も見るべき

歌の意味
ほかの花が咲き加わるような余地が野辺にあるのならば、萩以外の花も見られようが、それもない。
鑑賞
秋歌 270

詞書「萩満野」
 詞書「萩満野」は、萩が野に満ちているさまを詠む題である。野辺にほかの花が咲き加わる余地があるならば、萩以外の花を見ることもできるだろうが、野は萩で埋めつくされていて、萩のほかの花など見ることはできない、と詠む。反語を用いて、野一面に萩が咲き満ちているさまを強調している。
 前歌の「乱れ咲く野辺の萩原」を受け、萩が野を埋めつくすさまを、ほかの花の入る余地がないという言い方で詠んでいる。

 初句「咲き添はん」の「添ふ」は加わる意、「ん」は推量の助動詞「む」の連体形で、ほかの花が咲き加わるような、の意である。
 二句「所の野辺に」は、その余地となる場所が野辺に、の意である。
 三句「あらばやは」は、あるならば、の意で、「やは」は反語の係助詞であり、結句の「べき」と呼応する。
 四句「萩より外の」は、萩以外の、の意で、題の「萩満野」に当たる内容を裏から示している。
 結句「花も見るべき」は、係助詞「やは」を受けて連体形「べき」で結ぶ反語で、萩のほかの花を見られようか、いや見られない、の意となる。

さきそふ:ほかのものに加わって咲く
作者
西行
出典
山家集
前の歌
乱れ咲く野辺の萩原分け暮れて 露にも袖を染めてけるかな
次の歌
分けて入る庭しもやがて野辺なれば 萩の盛りを我がものに見る