茂り行きし原の下草尾花出でて
招くは誰を慕ふなるらん
- 歌の意味
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茂っていった野原の下草の中から尾花が穂を出して、手招きしているのは、いったい誰を慕っているのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 273
詞書「草花を」
詞書「草花を」は、秋の草花を詠む題である。茂っていった野原の下草の中から、尾花が穂を出して風になびき、手招きするように揺れているのは、誰を慕って招いているのだろうか、と詠む。風に揺れる薄の穂を、人を招く手に見立てた歌である。
尾花が人を招くという見立ては古くから和歌に詠まれてきたもので、ここではそれを、慕う相手のいる心として問いかけている。薄を詠む歌がここから続いていく。
初句「茂り行きし」は六音の字余りで、夏から秋にかけて茂っていった、の意である。
二句「原の下草」は、野原の下の方に生える草をいい、その中から尾花が抜け出るさまへと続く。
三句「尾花出でて」も六音の字余りで、尾花が穂を出して、の意である。「尾花」は薄の穂を獣の尾に見立てた名である。
四句「招くは誰を」は、尾花が風に揺れるさまを人を手招きする姿に見立て、誰を招くのかと問いかけている。
結句「慕ふなるらん」の「なる」は断定、「らん」は現在推量の助動詞で、誰を慕っているのだろうか、と結んでいる。
をばな:薄の穂、また穂の出た薄
したくさ:木や草の下に生える草
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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今日ぞ知るその江に洗ふ唐錦 萩咲く野辺にありけるものを
- 次の歌
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花薄心あてにぞ分けて行く ほの見し道の跡しなければ