女郎花分けつる野辺と思はばや
同じ露にしぬると見てぞは
- 歌の意味
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女郎花の咲く中を分けてきた野辺だと思いたいものだ。女郎花と同じ露に濡れて、共に寝たかのように見えるからには。
- 鑑賞
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秋歌 276
詞書「女郎花」
詞書「女郎花」の題で詠まれた歌で、ここから女郎花を詠む歌が続く。自分の袖が露に濡れているのを、女郎花の咲く野辺を分けてきたからだと思いたい、女郎花と同じ露に濡れていると見るならば、まるで女郎花と共寝をしたかのようだから、と詠む。女郎花を女性になぞらえる古くからの見方を踏まえた、戯れの心をもつ歌である。
「ぬる」に「濡る」と「寝る」を掛け、露に濡れた袖を、女郎花との共寝の名残のように言いなしている。本巻の第二百八十四首まで女郎花の歌が続き、女郎花の擬人化がさまざまに試みられていく。
初句「女郎花」は、秋の七草の一つで、名に「女」の字を含むことから女性になぞらえて詠まれることが多い。
二句「分けつる野辺と」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、分けて通ってきた野辺だと、の意である。
三句「思はばや」の「ばや」は自己の願望を表す終助詞で、そう思いたいものだ、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「同じ露にしぬると」の「し」は強意の副助詞、「ぬる」は「濡る」と「寝る」を掛けた掛詞で、女郎花と同じ露に濡れている、共に寝ている、の両意を表す。
結句「見てぞは」は、係助詞「ぞ」と「は」を重ねて強め、そう見てこそ、の意で、三句の願いの理由を示して結んでいる。
ぬる:露に濡れる意の「濡る」と、寝る意の「寝」を掛ける
をみなへし:秋の七草の一つで、黄色の小花を傘状につける草
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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籬荒れて薄ならねど刈萱も 茂き野辺とも成りにけるものを
- 次の歌
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女郎花色めく野辺に触ればはん 袂に露やこぼれかかると