女郎花色めく野辺に触ればはん
袂に露やこぼれかかると
- 歌の意味
-
女郎花が艶やかに色づいて咲く野辺に寄り添ってみよう。袂に露がこぼれかかるかと思って。
- 鑑賞
-
秋歌 277
詞書は前の歌に続き「女郎花」
女郎花を詠む一連の二首目である。女郎花が艶やかに色づいて咲く野辺に、身を寄せて触れてみよう、そうすれば袂に露がこぼれかかってくるだろうかと思って、と詠む。女郎花を女性になぞらえ、その色めいた姿に近づいてみようとする戯れの心を詠んでいる。
前歌が女郎花と同じ露に濡れたことを喜んだのを受け、この歌では自ら女郎花に近づいて露がかかるのを待つ姿へと進めている。
初句「女郎花」は、前歌に続いて女性になぞらえた女郎花である。
二句「色めく野辺に」の「色めく」は、花の色が美しく現れる意で、女性が艶やかで色っぽく見える意をも含ませている。
三句「触ればはん」の「触ればふ」は、触れる、近く寄り添う、の意で、「ん」は意志の助動詞「む」である。寄り添ってみよう、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「袂に露や」の「や」は疑問の係助詞で、袂に露がこぼれかかるだろうか、と期待をこめている。
結句「こぼれかかると」は、こぼれかかるかと思って、の意で、三句の行為の理由を倒置で後に示している。
ふればふ:触れる、近く寄り添う
いろめく:色が美しく現れる、また艶やかに見える
たもと:着物の袖の下の袋状になった部分
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
女郎花分けつる野辺と思はばや 同じ露にしぬると見てぞは
- 次の歌
-
今朝見れば露のすがるに折れ伏して おきもあがらぬ女郎花かな