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今朝見れば露のすがるに折れ伏して
おきもあがらぬ女郎花かな

歌の意味
今朝見ると、露が取りすがる重みに折れ伏して、起き上がることもできない女郎花であることよ。
鑑賞
秋歌 278

詞書「草花露重」
 詞書「草花露重」は、秋の草花に置く露が重いさまを詠む題である。今朝見ると、女郎花は夜の間に置いた露が取りすがる重みに折れ伏して、起き上がることもできないでいる、と詠む。露の重さにしなだれる女郎花を、朝になっても寝床から起きられない女性の姿に重ねている。
 「おき」に露が「置き」と、人が「起き」とを掛けている。女郎花を詠む一連の三首目で、結句「女郎花かな」は次歌、本巻の第二百八十首、第二百八十二首にも用いられ、女郎花を詠嘆して結ぶ歌が重ねられている。

 初句「今朝見れば」は、已然形に「ば」が付いた形で、今朝見てみると、の意である。
 二句「露のすがるに」の「すがる」は、取りすがる、の意で、露が花に取りすがるようにして重くかかるさまをいう。
 三句「折れ伏して」は、茎が折れて地に伏して、の意である。
 四句「おきもあがらぬ」の「おき」は、露が「置く」意と、人が「起く」意とを掛けた掛詞で、露が置いたまま起き上がることもできない、の意となる。
 結句「女郎花かな」は、「かな」で詠嘆して結び、露の重みにしなだれる女郎花の姿を示している。

おく:露が置く意と、起き上がる意の「起く」を掛ける
すがる:取りすがる、頼りにしてしがみつく
作者
西行
出典
山家集
前の歌
女郎花色めく野辺に触ればはん 袂に露やこぼれかかると
次の歌
おほかたの野辺の露にはしをるれど 我が涙なき女郎花かな