花が枝に露の白玉貫きかけて
折る袖濡らす女郎花かな
- 歌の意味
-
花の咲く枝に露の白玉を糸で貫いたように掛けて、手折る人の袖を濡らす女郎花であることよ。
- 鑑賞
-
秋歌 280
詞書「女郎花帯露」
詞書「女郎花帯露」は、露を帯びた女郎花を詠む題である。女郎花は花の枝に露の白玉を糸で貫いて掛けたように身に帯び、それを手折ろうとする人の袖を濡らす、と詠む。露を玉飾りに見立て、美しく装った女郎花を描いている。
露を玉にたとえ、それを糸で貫くと詠むのは和歌の常套の見立てである。次歌が「折らぬより袖ぞ濡れぬる」と、折る前から袖が濡れると詠むのと対になっている。
初句「花が枝に」は、花の咲いている枝に、の意で、「が」は連体修飾の格助詞である。
二句「露の白玉」は、露を白い玉に見立てた表現である。
三句「貫きかけて」は、玉を糸に通して掛けて、の意で、枝に並ぶ露を玉の首飾りのように見ている。
四句「折る袖濡らす」は、花を手折ろうとする人の袖を露で濡らす、の意である。
結句「女郎花かな」は、本巻の第二百七十八首、第二百七十九首と同じ結句で、「かな」で詠嘆して結んでいる。
しらたま:白い玉、真珠、ここでは露のたとえ
ぬきかく:玉などを糸に通して掛ける
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
おほかたの野辺の露にはしをるれど 我が涙なき女郎花かな
- 次の歌
-
折らぬより袖ぞ濡れぬる女郎花 露結ぼれて立てるけしきに