折らぬより袖ぞ濡れぬる女郎花
露結ぼれて立てるけしきに
- 歌の意味
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手折らないうちから袖が濡れてしまった。女郎花が露に結ぼれて、思い沈んだように立っている様子を見ると。
- 鑑賞
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秋歌 281
詞書は前の歌に続き「女郎花帯露」
前歌に続いて「女郎花帯露」の題で詠まれた歌である。女郎花を手折りもしないうちから、もう袖が濡れてしまった、露に結ぼれて、思いに沈んでいるかのように立っている女郎花の様子を見ると、と詠む。露にうなだれる花の姿に心を動かされ、思わず涙をこぼしたことを表している。
前歌が手折る人の袖を露が濡らすと詠んだのに対し、この歌は折る前から涙で袖が濡れると詠み、手で触れる露から、心を動かされて流す涙へと転じている。本巻の第二百六十七首の「折らで行く袖にも露ぞこぼれける」とも通じる趣向である。
初句「折らぬより」は、手折らないうちから、の意で、前歌の「折る袖濡らす」を受けて反転させている。
二句「袖ぞ濡れぬる」は、係助詞「ぞ」を受けて完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」で結ぶ係り結びで、袖が濡れてしまった、の意である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「女郎花」は、四句以下の主語となり、露を帯びた姿が描かれる。
四句「露結ぼれて」の「結ぼる」は、露が玉となって結ぶ意と、心が晴れずふさぎこむ意とを重ね、女郎花を思いに沈む人のように見ている。
結句「立てるけしきに」は、立っている様子に、の意で、袖が濡れた理由を倒置で後に示している。
むすぼる:露などが玉となって結ぶ、また気がふさいで晴れない
けしき:ようす、ありさま
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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花が枝に露の白玉貫きかけて 折る袖濡らす女郎花かな
- 次の歌
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池の面に影をさやかに映しても 水鏡見る女郎花かな