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池の面に影をさやかに映しても
水鏡見る女郎花かな

歌の意味
池の水面に自分の姿をくっきりと映して、まるで水鏡を見ているような女郎花であることよ。
鑑賞
秋歌 282

詞書「水辺女郎花」
 詞書「水辺女郎花」は、水辺に咲く女郎花を詠む題である。池のほとりに咲く女郎花が、水面に自分の姿をくっきりと映し、まるで水鏡で自分の姿を見ている女性のようだ、と詠む。女郎花を女性になぞらえる見方を、身づくろいする女性の姿にまで広げている。
 次歌も同じ題で、池の水を鏡に見立てて女郎花が姿を映す歌であり、二首で一組となっている。

 初句「池の面に」は六音の字余りで、池の水面に、の意である。
 二句「影をさやかに」の「影」は姿の意で、「さやかに」ははっきりと、の意である。
 三句「映しても」は、水面に姿を映して、の意で、「も」は詠嘆をこめている。
 四句「水鏡見る」の「水鏡」は、水面に姿を映して鏡とすることをいい、女郎花を鏡に向かう女性に見立てている。
 結句「女郎花かな」は、本巻の第二百七十八首からの女郎花の歌に繰り返される結句で、「かな」で詠嘆して結んでいる。

みづかがみ:水面に姿を映して鏡とすること
かげ:物の姿や形
作者
西行
出典
山家集
前の歌
折らぬより袖ぞ濡れぬる女郎花 露結ぼれて立てるけしきに
次の歌
類なき花の姿を女郎花 池の鏡に映してぞ見る