女郎花池のさ波に枝ひちて
もの思ふ袖の濡るる顔なる
- 歌の意味
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女郎花は池のさざ波に枝を浸して、もの思いをする人の袖が涙に濡れているような顔つきである。
- 鑑賞
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秋歌 284
詞書「女郎花水近」
詞書「女郎花水近」は、水に近く咲く女郎花を詠む題である。女郎花は池のさざ波に枝を浸して濡れ、まるでもの思いに沈む人の袖が涙に濡れているような顔つきをしている、と詠む。水に濡れた女郎花を、恋の思いに涙する女性になぞらえている。
前の二首が水面に姿を映して見入る女郎花を詠んだのに対し、この歌は水に枝を浸して濡れる女郎花を詠み、水辺の女郎花の趣向を変えている。本巻の第二百七十六首から続いた女郎花の一連はここで結ばれる。
初句「女郎花」は、秋の七草の一つで、ここでももの思う女性になぞらえられている。
二句「池のさ波に」の「さ波」は、細かく立つ波、さざ波をいい、「さ」は接頭語である。
三句「枝ひちて」の「ひつ」は、水に浸る、濡れる、の意で、枝が波に浸っているさまをいう。
四句「もの思ふ袖の」は、恋の思いなどに沈む人の袖をいい、涙に濡れる袖を連想させる。
結句「濡るる顔なる」の「顔」は、〜のような様子、の意で、「なる」は断定の助動詞の連体形で余情をこめて結び、袖が涙に濡れるような様子である、と言いなしている。
ひつ:水に浸る、濡れる
さなみ:細かく立つ波、さざなみ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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類なき花の姿を女郎花 池の鏡に映してぞ見る
- 次の歌
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思ふにも過ぎてあはれに聞こゆるは 荻の葉乱る秋の夕風