なにとなくものがなしくぞ見え渡る
鳥羽田の面の秋の夕暮
- 歌の意味
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なんとなくもの悲しく、一面に見渡されることだ。鳥羽の田の広がる秋の夕暮れは。
- 鑑賞
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秋歌 292
詞書は前の歌に続き「秋歌中に」
前歌に続いて秋の歌として詠んだ一首である。京の南の鳥羽の田の面に広がる秋の夕暮れは、見渡すかぎり、なんとなくもの悲しく見える、と詠む。理由のないもの悲しさを、広々とした田の景色に託している。
本巻の第二百八十九首から続く四首はいずれも秋の夕暮れのもの悲しさを詠み、この歌で具体的な地名をもつ景色に行き着いて結ばれている。第二百九十首の「すずろにもののかなしかるらん」と同じく、理由のないもの悲しさを「なにとなく」と言い表している。
初句「なにとなく」は、これといった理由もなく、の意で、第二百九十首の「すずろに」と同じ心を表している。
二句「ものがなしくぞ」は、なんとなく悲しく、の意で、係助詞「ぞ」は三句の「見え渡る」と係り結びをなす。
三句「見え渡る」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結び、一面に見渡される、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「鳥羽田の面の」の「鳥羽田」は、京の南、鳥羽のあたりに広がる田をいい、「面」は田の表面、田の広がりをいう。
結句「秋の夕暮」は体言止めで、本巻の第二百八十九首、第二百九十一首と同じ結句で一連を結んでいる。
とばた:京の南、鳥羽のあたりに広がる田
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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何事をいかに思ふとなけれども 袂かわかぬ秋の夕暮
- 次の歌
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寝覚めつつ長き夜かなといはれ野に 幾秋さても我が身経ぬらん