おほかたの露には何のなるならん
袂に置くは涙なりけり
- 歌の意味
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世間一般に置く露は、いったい何がなったものなのだろうか。私の袂に置く露は、涙なのであった。
- 鑑賞
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秋歌 294
詞書「露を」
詞書「露を」の題で詠まれた歌である。野や草に置く一般の露は、いったい何が変わってできたものなのだろうか、自分の袂に置く露は、涙がなったものであった、と詠む。袖の露を涙と見る和歌の常套を踏まえながら、問いと答えの形でそれをあらためて気づいたこととして詠んでいる。
『千載和歌集』秋上に入集している。初句「おほかたの」と露と涙との対比は、本巻の第二百七十九首「おほかたの野辺の露にはしをるれど我が涙なき女郎花かな」とも通じている。
初句「おほかたの」は、世間一般の、普通の、の意で、二句の「露」にかかり、四句の「袂に置く」露と対比される。
二句「露には何の」は、露には何が、の意で、露の正体を問いかけている。
三句「なるならん」は、なったものなのだろうか、の意で、「ならん」は断定の助動詞「なり」に推量の「む」が付いた形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「袂に置くは」は、自分の袂に置いている露は、の意で、「は」で取り立てて初句の「おほかたの露」と対比させている。
結句「涙なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、袂の露が涙であったと気づいた感慨を表して結ぶ。
おほかた:世間一般、普通
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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寝覚めつつ長き夜かなといはれ野に 幾秋さても我が身経ぬらん
- 次の歌
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山里の外面の岡の高き木に そぞろがましき秋蝉の声