- 歌の意味
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玉として糸に貫いていた露はこぼれ落ちて、武蔵野の草の葉を吹き結ぶ秋の初風であるよ。
- 鑑賞
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秋歌 296
詞書「人々秋歌十首詠みけるに」
詞書から、人々が秋の歌を十首ずつ詠んだ折の作で、ここから第三百五首までの十首がその折の一連であることがわかる。草の葉に玉を貫いたように連なっていた露はこぼれ落ち、秋の初風が武蔵野の草の葉を吹き結ぶように乱している、と詠む。広い武蔵野を吹き渡る初秋の風を捉えている。
露を玉に見立てる趣向は本巻の第二百八十首の「露の白玉貫きかけて」と通じ、ここではその玉が風にこぼれ散るさまを詠んでいる。十首の一連は、初秋の風から始まり、女郎花、虫、荻、鹿、月と、秋の景物を順に取り上げていく。
初句「玉に貫く」は、露を玉に見立て、それを糸に通して連ねる、の意である。
二句「露はこぼれて」は、玉のような露が風にこぼれ落ちて、の意である。
三句「武蔵野の」は、武蔵国の広い野で、草の生い茂る広大な野として和歌に詠まれる歌枕である。
四句「草の葉結ぶ」は、風が草の葉を吹き寄せて結び合わせるように乱す、の意である。
結句「秋の初風」は体言止めで、秋のはじめに吹く風を示して結ぶ。
はつかぜ:その季節のはじめに吹く風
むさしの:武蔵国の広大な野、草の茂る野として詠まれた歌枕
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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山里の外面の岡の高き木に そぞろがましき秋蝉の声
- 次の歌
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ほに出でて篠の小薄招く野に たはれて立てる女郎花かな