花をこそ野辺のものとは見に来つれ
暮るれば虫の音をも聞きけり
- 歌の意味
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花こそが野辺の見どころだと思って見に来たのだが、日が暮れると、虫の鳴く音も聞いたことだ。
- 鑑賞
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秋歌 298
詞書は前の歌に続き「人々秋歌十首詠みけるに」
秋歌十首の一連の三首目である。野辺のものといえば花であると思って、花を見に野に来たのだが、日が暮れてみると、虫の鳴く声までも聞くことになった、と詠む。昼の花に加え、夕暮れの虫の音という思いがけない秋の野の楽しみを見いだしている。
前歌までの草花の歌を受けて、ここで虫の音が加わり、本巻の歌は目で見る花から耳で聞く虫へと関心を広げていく。
初句「花をこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、三句の已然形「来つれ」と係り結びをなす。花こそを、と花を取り立てている。
二句「野辺のものとは」は、野辺にあるべきもの、野辺の見どころとしては、の意である。
三句「見に来つれ」は、係助詞「こそ」を受けて完了の助動詞「つ」の已然形「つれ」で結ぶ。こそ〜已然形の形で、下に逆接の意を含んで続いている。
四句「暮るれば虫の」は、日が暮れると虫の、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
結句「音をも聞きけり」の「も」は、花だけでなく虫の音も、の意で、「けり」は気づきの詠嘆である。
のべ:野のあたり、野原
ね:虫や鳥などの鳴く声
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ほに出でて篠の小薄招く野に たはれて立てる女郎花かな
- 次の歌
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荻の葉を吹き過ぎて行く風の音に 心乱るる秋の夕暮