秋の夜の空に出づてふ名のみして
影ほのかなる夕月夜かな
- 歌の意味
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秋の夜の空に月が出たという名ばかりで、光はほのかな夕月夜であることよ。
- 鑑賞
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秋歌 306
詞書「月」
詞書「月」の題で詠まれた歌で、ここから月を詠む歌が続く。秋の夜の空に月が出たとは名ばかりで、その光はまだほのかでしかない夕月夜である、と詠む。月の歌の始まりに、まだ満ちていない宵の月を置き、これから明るさを増していく秋の月を予感させている。
ここから本巻の大きな部分を月の歌が占めていく。月の歌はかすかな夕月夜から始められ、月の出、満ちた月、山の端に入る月と、さまざまな姿が詠み継がれていく。
初句「秋の夜の」は、秋の夜の、の意で、二句の「空」にかかる。
二句「空に出づてふ」の「てふ」は「といふ」の縮まった形で、空に出たという、の意である。
三句「名のみして」は、名ばかりで、の意で、月が出たとはいうものの実際の光は乏しいことを示している。
四句「影ほのかなる」の「影」は光の意で、光がほのかである、の意である。
結句「夕月夜かな」の「夕月夜」は、夕方に出ている月、また月の出ている夕方をいい、「かな」で詠嘆して結ぶ。
ゆふづくよ:夕方に出ている月、また月の出ている夕方
てふ:「といふ」の縮まった形
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なにとかく心をさへは尽くすらん 我が嘆きにて暮るる秋かは
- 次の歌
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天の原月たけのぼる雲路をば わきても風の吹き払はなん