天の原月たけのぼる雲路をば
わきても風の吹き払はなん
- 歌の意味
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大空を月が高く昇っていく、その雲の通い路を、とりわけ風が吹き払ってほしいものだ。
- 鑑賞
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秋歌 307
詞書は前の歌に続き「月」
前歌に続いて「月」の題で詠まれた歌である。大空を月が高く昇っていくその通り道の雲を、ほかはともかく、とりわけ風が吹き払ってほしい、と詠む。月を曇りなく見たいという願いを、風への呼びかけとして表している。
前歌のほのかな夕月夜に続き、ここでは月が空高く昇る姿が詠まれる。月を隠す雲を厭い、風に吹き払ってもらいたいという願いは、この後の月の歌にも繰り返し現れる。
初句「天の原」は、広々とした大空をいう。
二句「月たけのぼる」の「たく」は、高く昇る、盛りになる、の意で、月が空高く昇っていくさまをいう。
三句「雲路をば」は、雲の中の通り道を、の意で、「をば」は「を」を強めた形である。
四句「わきても風の」の「わきて」は、とりわけ、の意で、ほかのことはともかく月の通り道だけは、という願いの強さを示す。
結句「吹き払はなん」の「なん」は他に対する願望の終助詞で、風が吹き払ってほしい、と結んでいる。
あまのはら:広々とした大空
たく:日や月が高く昇る、盛りになる
くもぢ:月や鳥などが通るという雲の中の道
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋の夜の空に出づてふ名のみして 影ほのかなる夕月夜かな
- 次の歌
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うれしとや待つ人ごとに思ふらん 山の端出づる秋の夜の月