なかなかに心尽くすも苦しきに
曇らば入りね秋の夜の月
- 歌の意味
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なまじっか心を尽くして眺めるのもかえって苦しいので、曇るのなら、いっそ山に入ってしまえ、秋の夜の月よ。
- 鑑賞
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秋歌 309
詞書は前の歌に続き「月」
前歌に続いて「月」の題で詠まれた歌である。なまじ月に心を尽くして眺めていると、雲がかかるたびに気をもんでかえって苦しいので、どうせ曇るのなら、いっそ山の端に入ってしまえ、秋の夜の月よ、と詠む。月を愛するあまりの苦しさを、逆説的な呼びかけで表している。
前歌の月の出を喜ぶ心から一転して、月を見る苦しさが詠まれる。本巻の第三百十四首が「しばしな入りそ秋の夜の月」と、入るのを惜しんで月を引き止めているのと対照的で、入れと突き放す歌と、入るなと引き止める歌とが対になっている。
初句「なかなかに」は、なまじっか、かえって、の意である。
二句「心尽くすも」は、あれこれと気をもんで眺めるのも、の意である。
三句「苦しきに」は、苦しいので、の意で、「に」は原因や理由を示している。
四句「曇らば入りね」の「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形で、曇るのならば入ってしまえ、と月に呼びかけている。
結句「秋の夜の月」は呼びかけの対象を示す体言止めで、本巻の第三百十四首の結句と同じ句である。
なかなか:なまじっか、かえって
こころをつくす:あれこれと思い悩む、気をもむ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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うれしとや待つ人ごとに思ふらん 山の端出づる秋の夜の月
- 次の歌
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いかばかりうれしからまし秋の夜の 月澄む空に雲なかりせば