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水の面に宿る月さへ入りぬるは
池の底にも山やあるらん

歌の意味
水面に映っている月までもが沈んで見えなくなってしまうのは、池の底にも山があるのだろうか。
鑑賞
秋歌 313

詞書は前の歌に続き「月」
 前歌に続いて「月」の題で詠まれた歌である。空の月が山の端に入るのは当然として、池の水面に映っていた月までもが見えなくなってしまうのは、池の底にも月の入る山があるからなのだろうか、と詠む。水面の月が消えることを、空の月が山に入るのになぞらえた機知の歌である。
 前歌の「入る山の端はつらき」を受け、山の端への恨みを、池の底にまで山があるのかという問いへと広げている。

 初句「水の面に」は六音の字余りで、池の水面に、の意である。
 二句「宿る月さへ」の「宿る」は映ってとどまる、の意で、「さへ」は、空の月だけでなく水面の月までも、の意を表す。
 三句「入りぬるは」は、沈んで見えなくなってしまうのは、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。
 四句「池の底にも」の「も」は、空と同じように池の底にも、の含みをもつ。
 結句「山やあるらん」の「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞で、山があるのだろうか、と問いかけて結ぶ。

やどる:光や影が物の上に映ってとどまる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
いさよはで出づるは月のうれしくて 入る山の端はつらきなりけり
次の歌
慕はるる心や行くと山の端に しばしな入りそ秋の夜の月