水なくて氷ぞしたる勝間田の
池あらたむる秋の夜の月
- 歌の意味
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水もないのに氷が張っているかのようだ。勝間田の池の姿を新たに作り変える秋の夜の月の光は。
- 鑑賞
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秋歌 323
詞書「月似池」
詞書「月似池」は、月の光が池のように見えることを詠む題である。水のない勝間田の池に、秋の夜の月の光が一面に照らして、まるで氷が張っているかのように見える、月の光が池の姿を新たに作り変えてしまった、と詠む。月光を氷に見立て、水のない池を氷の池に変える月の力を描いている。
「水なくて」は、勝間田の池を水のない池とする言い伝えを踏まえるとみられる。本巻の第三百十七首の月光を雪と見まがう歌と同じく、月光を冬の景物に見立てる趣向である。
初句「水なくて」は、水がないのに、の意で、勝間田の池の水のなさをいう。
二句「氷ぞしたる」は、係助詞「ぞ」を受けて存続の助動詞「たり」の連体形で結ぶ係り結びで、氷が張っている、の意である。月光を氷に見立てている。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「勝間田の」は、大和国の歌枕である勝間田の池を指す。
四句「池あらたむる」の「あらたむ」は、新しく変える、作り変える、の意で、月光が池の姿を一変させることをいう。
結句「秋の夜の月」は体言止めで、本巻の月の歌に繰り返される結句で結んでいる。
あらたむ:新しく変える、作り変える
かつまたのいけ:大和国の歌枕
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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池に澄む月にかかれる浮雲は 払ひ残せる水錆なりけり
- 次の歌
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清見潟沖の岩越す白波に 光をかはす秋の夜の月