くまもなき月の光にさそはれて
幾雲居まで行く心ぞも
- 歌の意味
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曇りなく照る月の光に誘われて、いったいどれほど遠い雲の果てまでさまよって行く私の心なのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 327
詞書「月前遠望」
詞書「月前遠望」は、月の前で遠くを眺めることを詠む題である。一点の曇りもなく照る月の光に誘われて、自分の心はどれほど遠い雲の果てまでさまよい出て行くのだろうか、と詠む。月の光に心を奪われ、身を離れて遠くへあこがれ出る心を見つめている。
次歌も「月の光にさそはれて」の句を用いるが、この歌では誘われるのが自分の心であるのに対し、次歌では誘われて来る他人を待っている。同じ句を用いて、誘われて出て行く心と、誘われて来る人を待つ心とが対になっている。
初句「くまもなき」の「くま」は、物陰や曇りをいい、少しの曇りもない、の意である。
二句「月の光に」は、月の光によって、の意である。
三句「さそはれて」は、誘われて、の意で、月の光が心を誘い出すさまをいう。次歌にも同じ句が用いられている。
四句「幾雲居まで」の「雲居」は、雲のある遠い所、はるかな空をいい、どれほど遠い空の果てまで、の意である。
結句「行く心ぞも」の「ぞも」は、強い疑問や詠嘆を表し、行く心なのだろうか、と自らの心に問いかけて結ぶ。
くま:物陰、曇り、かげり
くもゐ:雲のある遠い所、はるかな空
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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難波潟月の光に浦冴えて 波の面に氷をぞ敷く
- 次の歌
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誰来なん月の光にさそはれてと 思ふに夜半の明けぬなるかな