誰来なん月の光にさそはれてと
思ふに夜半の明けぬなるかな
- 歌の意味
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月の光に誘われて誰かが訪ねて来るだろうと思っているうちに、夜が明けてしまったようだ。
- 鑑賞
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秋歌 328
詞書「終夜見月」
詞書「終夜見月」は、一晩じゅう月を見ることを詠む題である。これほど美しい月の光に誘われて、誰かが訪ねて来るだろうと思いながら月を眺めているうちに、とうとう誰も来ないまま夜が明けてしまったようだ、と詠む。夜通し月を見ていた時の長さと、訪れる人のない寂しさとが表されている。
前歌と同じ「月の光にさそはれて」の句を用い、前歌が月に誘われて出て行く自分の心を詠んだのに対し、この歌は月に誘われて来る人を待つ心を詠んでいる。
初句「誰来なん」の「な」は完了、「ん」は推量の助動詞で、誰かがきっと来るだろう、の意である。
二句「月の光に」は、前歌の二句と同じで、月の光によって、の意である。
三句「さそはれてと」は六音の字余りで、誘われて来るだろうと、の意で、初句からの思いの内容を「と」で受けている。
四句「思ふに夜半の」は、そう思っているうちに夜半が、の意である。
結句「明けぬなるかな」の「ぬ」は完了、「なる」は音などから推定する助動詞の連体形で、夜が明けてしまったようだ、と詠嘆して結ぶ。
よは:夜中、夜
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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くまもなき月の光にさそはれて 幾雲居まで行く心ぞも
- 次の歌
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山の端を出づる宵よりしるきかな 今宵知らする秋の夜の月