老いもせぬ十五の年もあるものを
今宵の月のかからましかば
- 歌の意味
-
人には老いることのない十五の年というものもあるのに、今宵の十五夜の月も、そのようにいつまでも変わらずにいてくれたならよいのに。
- 鑑賞
-
秋歌 335
詞書は前の歌に続き「八月十五夜」
十五夜を詠む一連の七首目で、一連を結ぶ歌である。人には、まだ老いを知らない若い盛りの十五の年というものがあるのに、今宵の十五夜の月も、そのようにいつまでも欠けることなく変わらずにいてくれたらよいのに、と詠む。人の年齢の十五と、十五夜の月の十五とを重ね合わせた機知の歌である。
満ちた月はやがて欠けていくことを惜しみ、十五夜の一連は名月を惜しむ心で結ばれている。本巻の第三百三十二首が十五を「とよにあまれる五日」と言いなしたのと同じく、十五の数を詠み込んでいる。
初句「老いもせぬ」は、老いることもない、の意で、若い盛りの年齢をいう。
二句「十五の年も」は、十五歳という年も、の意で、十五夜の「十五」を重ねている。
三句「あるものを」の「ものを」は逆接の接続助詞で、あるのに、の意である。
四句「今宵の月の」は、十五夜の今宵の月が、の意である。
結句「かからましかば」の「ましか」は反実仮想の助動詞「まし」の已然形で、このようであったならば、の意となり、下に、よかろうに、という願いを言いさしている。
とし:年齢
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
秋はただ今宵一夜の名なりけり 同じ雲居に月は澄めども
- 次の歌
-
月見れば影なく雲につつまれて 今宵ならずば闇に見えまし