月見れば影なく雲につつまれて
今宵ならずば闇に見えまし
- 歌の意味
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月を見ようとすると、その光もなく雲に包まれていて、今宵が十五夜でなかったならば、ただの闇夜に見えたことだろう。
- 鑑賞
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秋歌 336
詞書「曇れる十五夜を」
詞書から、雲に覆われた十五夜を詠んだ歌であることがわかる。名月を見ようと空を仰ぐと、月は光も見えないほど厚い雲に包まれていて、今宵が十五夜だと知っていなければ、ただの闇夜にしか見えなかっただろう、と詠む。見えない名月を、十五夜と知る心によって思い描いている。
前の一連が十五夜の明るい月を讃えたのに対し、この歌は曇って見えない十五夜を詠み、名月の一連を反対の側から締めくくっている。
初句「月見れば」は、月を見ようとすると、の意である。
二句「影なく雲に」の「影」は光の意で、光も見えず雲に、の意である。
三句「つつまれて」は、雲にすっかり包まれて、の意である。
四句「今宵ならずば」は、今宵が十五夜でなかったならば、の意で、結句の「まし」と呼応する反実仮想の条件である。
結句「闇に見えまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、ただの闇夜に見えたことだろう、と結んでいる。
かげ:光
つつむ:覆い包む
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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老いもせぬ十五の年もあるものを 今宵の月のかからましかば
- 次の歌
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入りぬとや東に人は惜しむらん 都に出づる山の端の月