入りぬとや東に人は惜しむらん
都に出づる山の端の月
- 歌の意味
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もう沈んでしまったと、東国の人は惜しんでいるのだろうか。都で今、山の端から出てくるこの月を。
- 鑑賞
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秋歌 337
詞書「月歌あまた詠みけるに」
詞書から、月の歌を数多く詠んだ折の作であることがわかる。ここから本巻の第三百七十八首まで、同じ詞書のもとに月の歌が四十二首続く。都で今まさに山の端から出てくる月を、遠い東国の人々は、もう沈んでしまったと惜しんでいるのだろうか、と詠む。一つの月を、都と東国という遠く離れた地で同時に見る人々の思いへと想像を広げている。
月の出と月の入りとを、都と東国という場所の違いによって対比させている。本巻の第三百十二首が月の出を喜び、月の入りを恨んだ歌であったのを、ここでは一つの月の出と入りとを遠く離れた二つの地に振り分けている。
初句「入りぬとや」の「ぬ」は完了、「や」は疑問の係助詞で、もう沈んでしまったと、の意である。三句の「らん」と呼応する。
二句「東に人は」の「東」は東国、都から見て東の地方をいう。
三句「惜しむらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、係助詞「や」を受けて連体形で結ぶ。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「都に出づる」は、都では今出てくる、の意で、初句の「入りぬ」と対になる。
結句「山の端の月」は体言止めで、都の山の端から出る月を示して結ぶ。
あづま:都から見て東の地方、東国
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月見れば影なく雲につつまれて 今宵ならずば闇に見えまし
- 次の歌
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待ち出でてくまなき宵の月見れば 雲ぞ心にまづかかりける