待ち出でてくまなき宵の月見れば
雲ぞ心にまづかかりける
- 歌の意味
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待ちに待って出てきた、曇りのない宵の月を見ると、いつ雲がかかるかと、まず雲のことが心にかかってくることだ。
- 鑑賞
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秋歌 338
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の二首目である。待ちわびてようやく出てきた曇りのない宵の月を見ると、その美しさを喜ぶよりも先に、いつ雲がかかって隠されてしまうかと、雲のことがまず気にかかる、と詠む。月を愛するあまり、喜びの中にも不安が先に立つ心を描いている。
「かかる」に、月に雲が「かかる」意と、心に「かかる」意とを掛けている。本巻の第三百七首や第三百十首などで繰り返された、月を隠す雲を厭う心が、ここでは月を見る前から雲を案じる心として詠まれている。
初句「待ち出でて」は、待っていて、ようやく月が出て、の意である。
二句「くまなき宵の」の「くま」は曇りや陰をいい、曇りのない宵の、の意である。
三句「月見れば」は、月を見ると、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「雲ぞ心に」は、係助詞「ぞ」で雲を強く取り立て、結句の「ける」と係り結びをなす。
結句「まづかかりける」の「かかり」は、雲が月に「かかる」意と、気に「かかる」意とを掛けた掛詞で、まず雲のことが気にかかる、の意である。係助詞「ぞ」を受けて連体形で結んでいる。
かかる:雲が月にかかる意と、心に気がかりとしてかかる意を掛ける
まちいづ:待っていたものがようやく出てくる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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入りぬとや東に人は惜しむらん 都に出づる山の端の月
- 次の歌
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秋風や天つ雲居を払ふらん 更けゆくままに月のさやけき