いづくとてあはれならずはなけれども
荒れたる宿ぞ月はさびしき
- 歌の意味
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どこであっても、月のあわれでない所はないけれども、荒れた家でこそ、月はひときわ寂しく見える。
- 鑑賞
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秋歌 340
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の四首目である。月の光はどこで見てもあわれでない所などないけれども、荒れ果てた家で見る月こそ、とりわけ寂しく心にしみる、と詠む。荒れた住まいと月との取り合わせに、寂しさの極みを見ている。
次歌も「荒れたる庭の月」を詠み、荒れた住まいの月を詠む歌が二首続く。この歌が荒れた宿の月の寂しさを一般的に述べたのに対し、次歌ではそこに昔住んでいた人を思いやっている。
初句「いづくとて」は、どこであるからといって、の意で、どこであっても、の意を表す。
二句「あはれならずは」は、しみじみとした趣がないことは、の意である。
三句「なけれども」は、ないけれども、の意で、上の句でどこの月もあわれであると認め、逆接で下の句へ続けている。
四句「荒れたる宿ぞ」は、荒れ果てた住まいでこそ、の意で、係助詞「ぞ」は結句の「さびしき」と係り結びをなす。
結句「月はさびしき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結び、月がひときわ寂しいことを強めている。
やど:住まい、家
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋風や天つ雲居を払ふらん 更けゆくままに月のさやけき
- 次の歌
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蓬分けて荒れたる庭の月見れば 昔住みけん人ぞ恋しき