虫の音に枯れゆく野辺の草むらに
あはれを添へて澄める月影
- 歌の意味
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虫の声が響く中で枯れていく野辺の草むらに、いっそうのあわれを添えて澄んだ光を落としている月影であるよ。
- 鑑賞
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秋歌 343
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の七首目である。虫の鳴く声の中で、しだいに枯れていく野辺の草むらに、月の光がさらにしみじみとしたあわれを添えて、澄んだ光を落としている、と詠む。虫の音、枯れゆく草、澄んだ月という晩秋の景物を重ね、秋の深まりを描いている。
前歌が月にこそ秋の趣があると述べたのを受け、この歌はその月が虫の音や枯れ草のあわれをさらに深めるさまを描いている。
初句「虫の音に」は、虫の鳴く声の中で、の意である。
二句「枯れゆく野辺の」は、しだいに枯れていく野辺の、の意で、晩秋の野のさまを示す。
三句「草むらに」は、草の茂みに、の意である。
四句「あはれを添へて」は、しみじみとした趣をさらに加えて、の意で、虫の音と枯れ草とにすでにあるあわれに、月の光がさらに加わることをいう。
結句「澄める月影」は体言止めで、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。澄んだ光を放つ月を示して結ぶ。
つきかげ:月の光
くさむら:草が群がって生えている所
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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身にしみてあはれ知らする風よりも 月にぞ秋の色はありける
- 次の歌
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人も見ぬよしなき山の末までに 澄むらん月の影をこそ思へ