人も見ぬよしなき山の末までに
澄むらん月の影をこそ思へ
- 歌の意味
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人も見ることのない、何のゆかりもない山の奥までも澄みわたっているであろう月の光のことを思いやることだ。
- 鑑賞
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秋歌 344
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の八首目である。誰も見る人のいない、何のゆかりもない奥深い山の果てまでも、月は分け隔てなく澄んだ光を照らしているのだろう、そのことを思いやる、と詠む。人に見られることを求めずに照らす月の姿に、深い思いを寄せている。
前歌までの野辺や庭など身近な所の月から、ここでは人の訪れない遠い山の果ての月へと思いを広げている。本巻の第三百二十七首で月の光に誘われて遠くまで行く心を詠んだのと同じく、月を通して遠い所へと心を馳せている。
初句「人も見ぬ」は、人も見ることのない、の意である。
二句「よしなき山の」の「よしなし」は、ゆかりがない、つまらない、の意で、誰のゆかりもない山の、の意である。
三句「末までに」は、山の奥の果てまでも、の意である。
四句「澄むらん月の」の「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、澄みわたっているであろう月の、の意である。
結句「影をこそ思へ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「思へ」で結ぶ係り結びで、その月の光を思いやることだ、と強めている。
よしなし:ゆかりがない、つまらない
すゑ:奥、果て
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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虫の音に枯れゆく野辺の草むらに あはれを添へて澄める月影
- 次の歌
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木の間洩る有明の月を眺むれば さびしさ添ふる嶺の松風