いかにせん影をば袖に宿せども
心の澄めば月の曇るを
- 歌の意味
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どうしたらよいのだろう。月の光を涙に濡れた袖に映して宿しているけれども、心が澄みわたって感に堪えなくなると、涙で月が曇ってしまうのを。
- 鑑賞
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秋歌 346
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の十首目である。月の光を涙に濡れた袖に映して宿しているけれども、月を見て心が澄みわたるほど感動が深まると、あふれる涙で袖の月が曇ってしまう、それをどうしたらよいのだろう、と詠む。月に心を澄ませるほど月が見えなくなるという、矛盾した心の状態を詠んでいる。
袖の涙に月を宿すという趣向は、次歌以下の第三百四十八首「袖に映して眺めつるかな」、第三百五十一首「月こそ袖に宿りけれ」などにも見え、袖と月とを結ぶ歌がこの一連に重ねられている。
初句「いかにせん」は、どうしたらよいだろう、の意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「影をば袖に」の「影」は月の光の意で、月の光を袖に、の意である。
三句「宿せども」は、涙に濡れた袖に映して宿しているけれども、の意である。
四句「心の澄めば」は、心が澄みわたると、の意で、月に感じ入って心が清らかになることをいう。
結句「月の曇るを」は、涙で袖の月が曇ってしまうのを、の意で、初句の「いかにせん」の対象を倒置で後に示している。
やどす:光や影を映してとどめる
かげ:光
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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木の間洩る有明の月を眺むれば さびしさ添ふる嶺の松風
- 次の歌
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悔しくも賤の伏屋とおとしめて 月の漏るをも知らで過ぎける