悔しくも賤の伏屋とおとしめて
月の漏るをも知らで過ぎける
- 歌の意味
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悔やまれることに、身分の低い者の粗末な小屋だと見下して、そこに月の光が漏れ入る趣も知らずに通り過ぎてしまったことだ。
- 鑑賞
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秋歌 347
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の十一首目である。身分の低い者の住む粗末な小屋だと見下して、これまで通り過ぎてきたが、そこには屋根や壁のすき間から月の光が漏れ入る美しい趣があったのに、それを知らずにいたことが悔やまれる、と詠む。粗末な住まいにこそ月の趣があることに気づいた心を表している。
本巻の第三百三首が庵に漏る月の寂しさを詠んだのと通じ、次歌でも草の庵に漏る月が詠まれる。粗末な住まいに漏れ入る月を詠む歌が、ここで二首続いている。
初句「悔しくも」は、悔やまれることに、の意で、ここで後悔の思いを先に示している。
二句「賤の伏屋と」の「賤」は身分の低い者、「伏屋」は屋根の低い粗末な家をいう。
三句「おとしめて」は、見下して、さげすんで、の意である。
四句「月の漏るをも」は、月の光がすき間から漏れ入るのをも、の意である。
結句「知らで過ぎける」の「で」は打消の接続助詞で、知らずに通り過ぎてしまった、の意である。「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形で、初句の「も」を受けて詠嘆をこめて結んでいる。
しづ:身分の低い者
ふせや:屋根の低い粗末な家
おとしむ:見下す、さげすむ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いかにせん影をば袖に宿せども 心の澄めば月の曇るを
- 次の歌
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あはれなる草の庵に漏る月を 袖に映して眺めつるかな