あはれなる草の庵に漏る月を
袖に映して眺めつるかな
- 歌の意味
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しみじみとした趣のある草の庵に漏れ入ってくる月の光を、涙に濡れた袖に映して眺めたことだ。
- 鑑賞
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秋歌 348
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の十二首目である。しみじみとした趣のある草の庵に、屋根のすき間から漏れ入ってくる月の光を、涙に濡れた袖に映して、物思いにふけりながら眺めたことだ、と詠む。粗末な草の庵の中で、袖の涙に月を宿して眺める寂しくも美しい情景を描いている。
前歌が賤の伏屋に漏る月を知らずに過ぎたことを悔やんだのを受け、この歌では自ら草の庵に住み、漏れ入る月を袖に映して眺めている。本巻の第三百四十六首の、袖に月を宿す趣向とも通じている。
初句「あはれなる」は、しみじみとした趣のある、の意で、二句の「草の庵」にかかる。
二句「草の庵に」は、草で屋根を葺いた粗末な庵に、の意である。
三句「漏る月を」は、すき間から漏れ入る月の光を、の意である。
四句「袖に映して」は、涙に濡れた袖に月の光を映して、の意である。
結句「眺めつるかな」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞で、物思いにふけりながら眺めたことだ、と結んでいる。
くさのいほり:草で屋根を葺いた粗末な住まい
ながむ:物思いにふけりながらじっと見つめる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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悔しくも賤の伏屋とおとしめて 月の漏るをも知らで過ぎける
- 次の歌
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月を見て心浮かれしいにしへの 秋にもさらにめぐりあひぬる