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何事も変はりのみゆく世の中に
同じ影にて澄める月かな

歌の意味
何事もただ移り変わっていくばかりのこの世の中に、昔と同じ光で澄みわたっている月であることよ。
鑑賞
秋歌 350

詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
 月の歌の一連の十四首目である。この世の中では何事もただ移り変わっていくばかりなのに、月だけは昔と変わらない同じ光で澄みわたっている、と詠む。無常の世と、変わらずに照る月とを対比させ、月の変わらなさに心を寄せている。
 『続拾遺和歌集』に入集している。前歌が昔の秋にめぐりあったと詠んだのを受け、この歌は昔も今も変わらぬ月の光を詠んでいる。本巻の第三百五十二首の「変はらじものを秋の夜の月」とも通じ、月の不変を詠む歌が重ねられている。

 初句「何事も」は、どんなことも、の意である。
 二句「変はりのみゆく」は、ただ移り変わっていくばかりの、の意で、「のみ」で変化しかないことを強めている。
 三句「世の中に」は、この世の中に、の意で、無常の世をいう。
 四句「同じ影にて」の「影」は光の意で、昔と同じ光で、の意である。二句の「変はり」と対比されている。
 結句「澄める月かな」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞で、変わらず澄みわたる月への感動を表して結ぶ。

かげ:光
作者
西行
出典
山家集
前の歌
月を見て心浮かれしいにしへの 秋にもさらにめぐりあひぬる
次の歌
夜もすがら月こそ袖に宿りけれ 昔の秋を思ひ出づれば