夜もすがら月こそ袖に宿りけれ
昔の秋を思ひ出づれば
- 歌の意味
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一晩じゅう、月こそが私の袖に宿っていたことだ。昔の秋を思い出しては涙を流していたので。
- 鑑賞
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秋歌 351
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の十五首目である。昔の秋を思い出しては涙を流していたので、一晩じゅう、涙に濡れた袖に月の光が宿っていた、と詠む。昔を懐かしむ涙と、その涙に映る月とを結びつけ、懐旧の情を月によって表している。
『新古今和歌集』雑歌上に入集し、同集では本巻の第三百四十九首の次に置かれている。第三百四十九首が昔の秋にめぐりあったと詠み、この歌が昔の秋を思い出して袖を濡らすと詠んでおり、月と昔とを結ぶ二首は同集でも並んでいる。
初句「夜もすがら」は、一晩じゅう、夜通し、の意である。
二句「月こそ袖に」は、係助詞「こそ」で月を強く取り立て、三句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
三句「宿りけれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形で結び、月の光が袖の涙に映ってとどまっていた、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「昔の秋を」は、過ぎ去った昔の秋を、の意である。
結句「思ひ出づれば」は、思い出すので、と已然形に「ば」が付いた確定条件で、袖に月が宿った理由を倒置で後に示している。
よもすがら:一晩じゅう、夜通し
やどる:光や影が物の上に映ってとどまる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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何事も変はりのみゆく世の中に 同じ影にて澄める月かな
- 次の歌
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眺むればほかの影こそゆかしけれ 変はらじものを秋の夜の月