眺むるもまことしからぬ心地して
世にあまりたる月の影かな
- 歌の意味
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眺めていても、本当のこととは思えない心地がして、この世にあり余るほどすばらしい月の光であることよ。
- 鑑賞
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秋歌 355
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の十九首目である。月を眺めていても、これが現実のこととは思えないような心地がする、この世には収まりきらないほどすばらしい月の光である、と詠む。あまりに美しい月の光を、この世のものを超えたものとして讃えている。
この歌の「まことしからぬ」は、本巻の第三百五十七首「まこととも誰か思はん」とも通じ、月の美しさが現実離れしていて信じがたいほどだという思いが、一連の中で繰り返されている。
初句「眺むるも」は、物思いにふけりながら見つめていても、の意である。
二句「まことしからぬ」の「まことし」は、本当らしい、現実のことのようだ、の意で、打消の「ぬ」と合わせて、現実のこととは思えない、の意となる。
三句「心地して」は、そのような気持ちがして、の意である。
四句「世にあまりたる」は、この世にあり余る、この世には収まりきらない、の意で、月の光のすばらしさをいう。
結句「月の影かな」の「影」は月の光の意で、「かな」で詠嘆して結ぶ。
まことし:本当らしい、現実のことのようである
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月影の傾く山を眺めつつ 惜しむしるしや有明の空
- 次の歌
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行く末の月をば知らず過ぎ来つる 秋またかかる影はなかりき