行く末の月をば知らず過ぎ来つる
秋またかかる影はなかりき
- 歌の意味
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これから先の月のことはわからないが、これまで過ごしてきた秋には、これほどの月の光はまだなかった。
- 鑑賞
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秋歌 356
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の二十首目である。これから先にどんな月が見られるかはわからないが、これまで過ごしてきた秋には、今宵のようなすばらしい月の光はまだなかった、と詠む。過去と未来とを比べて、今宵の月が比類のないものであることを讃えている。
前歌が月をこの世にあり余るものと讃えたのを受け、この歌は過ぎてきた秋の月と比べて今宵の月を讃えている。本巻の第三百十五首の「またこそかかる月見ざりつれ」と同じく、これほどの月は見たことがないという感動を詠んでいる。
初句「行く末の」は、これから先の、将来の、の意である。
二句「月をば知らず」は、月のことはわからない、の意で、「をば」は「を」を強めた形である。
三句「過ぎ来つる」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、過ごしてきた、の意で、四句の「秋」にかかる。
四句「秋またかかる」の「また」は打消と呼応して、まだ、これまで、の意で、「かかる」はこのような、の意である。
結句「影はなかりき」の「き」は過去の助動詞で、これほどの光はなかった、と過去の秋を振り返って結ぶ。
ゆくすゑ:これから先、将来
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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眺むるもまことしからぬ心地して 世にあまりたる月の影かな
- 次の歌
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まこととも誰か思はん一人見て 後に今宵の月を語らば