まこととも誰か思はん一人見て
後に今宵の月を語らば
- 歌の意味
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本当のことだと誰が思うだろうか。私ひとりで見て、後になって今宵の月のすばらしさを人に語ったとしても。
- 鑑賞
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秋歌 357
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の二十一首目である。今宵の月をひとりで見て、後で人にそのすばらしさを語ったとしても、誰が本当のことだと思ってくれるだろうか、誰も信じはしないだろう、と詠む。あまりにすばらしい月を独り占めにしている喜びと、それを分かち合えない寂しさとが表されている。
本巻の第三百五十五首の「まことしからぬ心地して」と通じ、月のすばらしさが信じがたいほどであることを、ここでは語っても人に信じてもらえないだろうという形で詠んでいる。
初句「まこととも」は、本当のことだとも、の意である。
二句「誰か思はん」の「か」は反語の係助詞、「ん」は推量の助動詞「む」の連体形で、誰が思うだろうか、いや誰も思わない、の意である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「一人見て」は、ひとりで見て、の意で、ほかに見る人のいないことをいう。
四句「後に今宵の」は、後になって今宵の、の意である。
結句「月を語らば」は、月のことを語ったとしても、の意で、未然形に「ば」が付いた仮定条件である。二句の理由となる条件を倒置で後に示している。
かたる:話して聞かせる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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行く末の月をば知らず過ぎ来つる 秋またかかる影はなかりき
- 次の歌
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月のため昼と思ふがかひなきに しばし曇りて夜を知らせよ