なかなかに時々雲のかかるこそ
月をもてなす飾りなりけれ
- 歌の意味
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かえって、時々雲がかかることこそが、月を引き立てる飾りなのであった。
- 鑑賞
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秋歌 361
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の二十五首目である。月にはいつも雲がかからない方がよいと思われがちだが、かえって時々雲がかかることこそが、月の美しさを引き立てる飾りなのだ、と詠む。これまで厭われてきた雲を、月を美しく見せるものとして捉え直している。
本巻の第三百十首などで、雲さえなければと嘆いてきた心を反転させ、雲の価値を認めている。第三百七十首も同じ「なかなかに」で始まり、曇ると見えて晴れる夜の月はかえって光が増すと詠んでおり、雲が月を引き立てるという趣向が重ねられている。
初句「なかなかに」は、かえって、むしろ、の意で、一般の見方とは逆であることを示している。
二句「時々雲の」は、ときおり雲が、の意である。
三句「かかるこそ」は、月にかかることこそ、の意で、係助詞「こそ」は結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
四句「月をもてなす」の「もてなす」は、大切に扱う、引き立てる、の意である。
結句「飾りなりけれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形で結び、月を美しく見せる飾りであったと気づいた感慨を表している。
もてなす:大切に扱う、引き立てる
なかなか:かえって、むしろ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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有明の月のころにしなりぬれば 秋は夜なき心地こそすれ
- 次の歌
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雲晴るる嵐の音は松にあれや 月も緑の色に映えつつ