定めなく鳥や鳴くらん秋の夜の
月の光を思ひまがへて
- 歌の意味
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時刻も定まらずに鶏が鳴いているのだろうか。秋の夜の月の光を、夜明けの光と思い違えて。
- 鑑賞
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秋歌 363
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の二十七首目である。秋の夜の月があまりに明るいので、鶏がそれを夜明けの光と思い違えて、時刻も定まらずにあちこちで鳴いているのだろうか、と詠む。月の明るさを、鶏が夜明けと勘違いするほどだと言って讃えている。
本巻の第三百五十八首から続く、月夜を昼と見まがう趣向の歌の一首で、ここでは人ではなく鶏が月の光を夜明けと思い違えている。
初句「定めなく」は、決まった時刻もなく、の意で、夜明けを告げるはずの鶏が時を定めずに鳴くさまをいう。
二句「鳥や鳴くらん」の「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞で、鶏が鳴いているのだろうか、の意である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「秋の夜の」は、四句の「月」にかかる。
四句「月の光を」は、月の光を、の意で、結句の「思ひまがへて」の対象となる。
結句「思ひまがへて」は、思い違えて、取り違えて、の意で、鶏が鳴く理由を倒置で後に示している。
おもひまがふ:思い違える、取り違える
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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雲晴るる嵐の音は松にあれや 月も緑の色に映えつつ
- 次の歌
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誰もみなことわりとこそ定むらめ 昼をあらそふ秋の夜の月