眺むればいなや心の苦しきに
いたくな澄みそ秋の夜の月
- 歌の意味
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眺めていると、いやもう心が苦しくてならないので、そんなにひどく澄みわたらないでくれ、秋の夜の月よ。
- 鑑賞
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秋歌 367
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の三十一首目である。月を眺めていると、いやもう心が苦しくてたまらないので、そんなにひどく澄みわたらないでくれ、秋の夜の月よ、と詠む。月が美しく澄むほど心が乱れて苦しくなるという、月を愛するがゆえの苦しみを表している。
本巻の第三百九首の「なかなかに心尽くすも苦しきに曇らば入りね」と同じく、月を見る苦しさから月に呼びかける歌である。第三百十四首の「しばしな入りそ」と同じ「な〜そ」の禁止を用い、ここでは入るなではなく、澄むなと呼びかけている。
初句「眺むれば」は、物思いにふけりながら見つめていると、の意である。
二句「いなや心の」の「いなや」は、いやもう、の意の感動詞で、心が、の意である。
三句「苦しきに」は、苦しいので、の意で、「に」は理由を示す。
四句「いたくな澄みそ」の「いたく」は、ひどく、はなはだしく、の意で、「な〜そ」は禁止を表す。ひどく澄まないでくれ、の意である。
結句「秋の夜の月」は呼びかけの対象を示し、本巻の月の歌に繰り返される結句で結んでいる。
いたし:はなはだしい、ひどい
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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くまもなき月の面に飛ぶ雁の 影を雲かとまがへつるかな
- 次の歌
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雲も見ゆ風も吹けば荒くなる のどかなりつる月の光を