雲も見ゆ風も吹けば荒くなる
のどかなりつる月の光を
- 歌の意味
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雲も見えてきた。風も吹くと荒々しくなってしまう、先ほどまでのどかであった月の光を。
- 鑑賞
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秋歌 368
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の三十二首目である。空に雲も見えてきた、風も吹いてきて、先ほどまでのどかに照っていた月の光が、雲の流れに乱されて荒々しくなってしまう、と詠む。穏やかだった月夜の景が、雲と風とによって一変するさまを描いている。
前歌が月にあまり澄むなと呼びかけたのに対し、この歌では雲と風によって月の光が乱されることを嘆いており、澄みすぎる月への苦しみから、乱される月への惜しみへと心が移っている。
初句「雲も見ゆ」は、雲も見えてきた、の意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「風も吹けば」は、風も吹くと、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
三句「荒くなる」は、荒々しくなる、の意で、雲が流れて月の光が乱れるさまをいう。
四句「のどかなりつる」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、さっきまでのどかであった、の意である。
結句「月の光を」は、月の光を、の意で、三句の「荒くなる」の対象を倒置で後に示している。
のどか:穏やかで静かなさま
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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眺むればいなや心の苦しきに いたくな澄みそ秋の夜の月
- 次の歌
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もろともに影を並ぶる人もあれや 月の漏りくる笹の庵に