うき事の月の面にかかれども
早く過ぐるはうれしかりけり
- 歌の意味
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憂いことである浮雲が月の面にかかるけれども、それが早く過ぎ去ってしまうのはうれしいことだ。
- 鑑賞
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秋歌 371
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の三十五首目である。月の面に、つらく憂いものである浮雲がかかるけれども、それが早く通り過ぎていってくれるのはうれしいことだ、と詠む。月を隠す雲への思いを、早く過ぎ去る雲への喜びとして表している。
「うき」に「憂き」と「浮き」とを掛け、憂いものである浮雲を表している。次歌は反対に、月の近くを過ぎ去らずに漂う浮雲を見るのはつらいと詠み、結句の「うれしかりけり」と「わびしかりけり」とが対をなしている。
初句「うき事の」の「うき」は、つらく憂い意の「憂き」と、空に浮かぶ意の「浮き」とを掛けた掛詞で、憂いものである浮雲が、の意となる。
二句「月の面に」は、月の表面に、の意である。
三句「かかれども」は、かかるけれども、の意で、逆接の接続助詞「ども」によって下の句へ続けている。
四句「早く過ぐるは」は、早く過ぎ去っていくのは、の意である。
結句「うれしかりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、雲が早く過ぎるのはうれしいことだ、と結んでいる。次歌の結句「わびしかりけり」と対になっている。
うき:つらく憂い意の「憂き」と、浮かぶ意の「浮き」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なかなかに曇ると見えて晴るる夜の 月は光の添ふ心地する
- 次の歌
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過ぎやらで月近く行く浮雲の ただよふ見るはわびしかりけり