厭へどもさすがに雲のうち散りて
月のあたりを離れざりけり
- 歌の意味
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いやだと思って嫌うけれども、それでもやはり雲はちぎれ散って、月のあたりを離れないでいることだ。
- 鑑賞
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秋歌 373
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の三十七首目である。月を隠す雲をいくら嫌っても、それでもやはり雲はちぎれ散りながら、月のまわりから離れずにいる、と詠む。どうしても月から離れない雲を、思いどおりにならないものとして嘆いている。
前歌の、過ぎ去らずに月の近くを漂う浮雲を受け、ここでは散り散りになりながらもなお月のあたりを離れない雲を詠んでいる。雲を嫌う心と、雲が月から離れない現実との食い違いが表されている。
初句「厭へども」の「厭ふ」は、嫌う、いやがる、の意で、「ども」は逆接の接続助詞である。
二句「さすがに雲の」の「さすがに」は、そうはいってもやはり、の意である。
三句「うち散りて」の「うち」は接頭語で、雲がちぎれて散り散りになって、の意である。
四句「月のあたりを」は、月のまわりを、の意である。
結句「離れざりけり」の「ざり」は打消の助動詞「ず」の連用形、「けり」は気づきの詠嘆で、離れないでいることだ、と結んでいる。
いとふ:嫌う、いやがる
さすがに:そうはいってもやはり
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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過ぎやらで月近く行く浮雲の ただよふ見るはわびしかりけり
- 次の歌
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雲払ふ嵐に月の磨かれて 光得て澄む秋の空かな