- 歌の意味
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一点の曇りもない月の光を眺めていると、まず何よりも、月の名所である姨捨山が恋しく思われる。
- 鑑賞
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秋歌 375
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の三十九首目である。曇りなく照る月の光を眺めていると、まず何よりも、月の名所として名高い信濃国の姨捨山が恋しく思われる、と詠む。目の前の月から、遠い月の名所へと心を馳せている。
姨捨山は信濃国更級にある山で、『古今和歌集』の「わが心なぐさめかねつ更級や姨捨山に照る月を見て」以来、月の名所として知られた。本巻の第三百五十二首がほかの所の月を見たいと願ったのと通じ、ここでは名所の姨捨山の月を慕っている。
初句「くまもなき」の「くま」は曇りや陰をいい、少しの曇りもない、の意である。
二句「月の光を」は、月の光を、の意である。
三句「眺むれば」は、物思いにふけりながら見つめていると、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「まづ姨捨の」は、まず何よりも姨捨の、の意で、信濃国の月の名所である姨捨山を指す。
結句「山ぞ恋しき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「恋しき」で結ぶ係り結びで、姨捨山が恋しいことを強めている。
をばすてやま:信濃国更級にある山で、月の名所として知られた歌枕
くま:物陰、曇り、かげり
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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雲払ふ嵐に月の磨かれて 光得て澄む秋の空かな
- 次の歌
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月冴ゆる明石の瀬戸に風吹けば 氷の上に畳む白波