- 歌の意味
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月の光が冷たく冴える明石の海峡に風が吹くと、氷のように白く光る海面の上に、白波が幾重にも重なり立つ。
- 鑑賞
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秋歌 376
詞書は前の歌に続き「月歌あまた詠みけるに」
月の歌の一連の四十首目である。月の光が冷たく冴えわたる明石の海峡に風が吹くと、月光に照らされて氷のように見える海面の上に、白波が幾重にも折り重なって立つ、と詠む。月光の白さと波の白さとを重ね、冬を思わせる冷たく澄んだ海の夜景を描いている。
本巻の第三百二十六首が難波潟の波の面を月光で氷を敷いたようだと詠んだのと同じく、ここでも海面を氷に見立て、その上に立つ白波を加えている。明石の月は第三百二十五首でも詠まれていた。
初句「月冴ゆる」の「冴ゆ」は、冷たく澄みわたる、の意で、月の光が冷たく澄むさまをいう。
二句「明石の瀬戸に」の「瀬戸」は、陸地にはさまれて海が狭くなった所で、播磨国の明石の海峡をいう。
三句「風吹けば」は、風が吹くと、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「氷の上に」は、月光に照らされて氷のように見える海面の上に、の意である。
結句「畳む白波」は体言止めで、「畳む」は幾重にも重ねる意である。白波が重なり立つさまを示して結ぶ。
せと:陸地にはさまれて海が狭くなった所、海峡
たたむ:幾重にも重ねる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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くまもなき月の光を眺むれば まづ姨捨の山ぞ恋しき
- 次の歌
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天の原同じ岩戸を出づれども 光異なる秋の夜の月