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雲消えし秋の半ばの空よりも
月は今宵ぞ名に負へりける

歌の意味
雲の消えた秋の半ば、八月十五夜の空よりも、月は今宵、九月十三夜こそ、名月の名にふさわしいことだ。
鑑賞
秋歌 380

詞書は前の歌に続き「九月十三夜」
 前歌に続いて九月十三夜の月を詠んだ歌である。雲が消えて晴れわたった秋の半ばの八月十五夜の空の月よりも、今宵の九月十三夜の月こそが、名月という名にふさわしい、と詠む。十五夜と十三夜とを比べ、十三夜の月の美しさを讃えている。
 「秋の半ば」は本巻の第三百三十首でも十五夜を指して用いられた語で、十五夜の一連と、この十三夜の歌とが呼応している。十五夜の月を讃え続けてきた本巻で、ここでは十三夜の月を十五夜以上と讃えている。

 初句「雲消えし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、雲が消えて晴れわたった、の意である。
 二句「秋の半ばの」は、秋のちょうど真ん中の、すなわち八月十五夜の、の意で、本巻の第三百三十首の四句と同じ語である。
 三句「空よりも」は、その空の月よりも、の意で、比較の対象を示している。
 四句「月は今宵ぞ」は、月は今宵こそ、の意で、係助詞「ぞ」は結句の「ける」と係り結びをなす。
 結句「名に負へりける」の「名に負ふ」は、その名にふさわしい、名高い、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結んでいる。

なにおふ:その名にふさわしい、名高い
なかば:半分、真ん中
作者
西行
出典
山家集
前の歌
今宵はと心得顔に澄む月の 光もてなす菊の白露
次の歌
月見れば秋加はれる年はまた 飽かぬ心も空にぞありける