惜しむ夜の月にならひて有明の
入らぬを招く花薄かな
- 歌の意味
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人々が夜の月の名残を惜しむのにならって、有明の月がまだ沈まないうちにと手招きしている花薄であることよ。
- 鑑賞
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秋歌 385
詞書「月前薄」
詞書「月前薄」は、月の前の薄を詠む題である。人々が夜の月を惜しむのにならって、花薄もまた、有明の月がまだ山に入らないうちに、行かないでくれと手招きしているようだ、と詠む。風に揺れる薄の穂を月を招く手に見立て、薄を月を惜しむ人の心をもつものとして描いている。
薄の穂が人を招くという見立ては本巻の第二百七十三首、第二百九十七首でも用いられていたが、ここでは薄が招く相手を月としている。本巻の第三百七十八首までの、月の入りを惜しむ心を、薄に託して詠んでいる。
初句「惜しむ夜の」は、人々が名残を惜しむ夜の、の意で、二句の「月」にかかる。
二句「月にならひて」の「ならふ」は、まねる、ならう、の意で、人々が月を惜しむのにならって、の意である。
三句「有明の」は、夜が明けてもなお空に残る月をいい、四句の「入らぬ」の主語となる月を示す。
四句「入らぬを招く」は、有明の月がまだ沈まないのを、沈まないうちに招き寄せる、の意で、薄の穂の揺れを手招きに見立てている。
結句「花薄かな」は、穂の出た薄をいい、「かな」で詠嘆して結ぶ。
ならふ:まねる、ならう
はなすすき:穂の出た薄
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋の夜のいさよふ山の端のみかは 雲の絶え間も待たれやはせぬ
- 次の歌
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花薄月の光にまがはまし 深きますほの色に染めずは