- 歌の意味
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花薄は月の光と見分けがつかなくなってしまうだろう。もし深い赤みを帯びたますほの色に染まっていなかったならば。
- 鑑賞
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秋歌 386
詞書は前の歌に続き「月前薄」
前歌に続いて「月前薄」の題で詠まれた歌である。白く光る花薄の穂は、月の光と見分けがつかなくなってしまうだろう、もし穂が深いますほの色、赤みを帯びた色に染まっていなかったならば、と詠む。月光の白さと薄の穂の色とを対比させ、わずかな色の違いによって薄が月光と区別されることを詠んでいる。
前歌が薄を月を招くものとして詠んだのに対し、この歌は月光と薄の穂との色の見分けにこだわり、月と薄の取り合わせを色の面から詠んでいる。
初句「花薄」は、穂の出た薄をいう。
二句「月の光に」は、月の光と、の意で、三句の「まがふ」の対象となる。
三句「まがはまし」の「まがふ」は、見分けがつかなくなる、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞である。結句の「ずは」と呼応し、見分けがつかなかっただろう、の意となる。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「深きますほの」の「ますほ」は、赤みを帯びた色、また穂の長い薄をいい、ますほの薄として和歌に詠まれる。
結句「色に染めずは」は、その色に染めていなかったならば、の意で、三句の仮想の条件を倒置で後に示している。
ますほ:赤みを帯びた色、また穂の長い薄
まがふ:入り交じって見分けがつかなくなる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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惜しむ夜の月にならひて有明の 入らぬを招く花薄かな
- 次の歌
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月澄むと荻植ゑざらん宿ならば あはれ少なき秋にやあらまし