月なくは暮れば宿へや帰らまし
野辺には花の盛りなりとも
- 歌の意味
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もし月がなかったならば、日が暮れたら家へ帰ってしまっただろうか。たとえ野辺には花が盛りであっても。
- 鑑賞
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秋歌 388
詞書「月照野花」
詞書「月照野花」は、月が野の花を照らすさまを詠む題である。もし月がなかったならば、たとえ野辺に花が盛りに咲いていても、日が暮れたら家へ帰ってしまっただろう、と詠む。月の光があるからこそ、夜も野に残って花を見ていられることを表している。
本巻の第二百六十九首が、乱れ咲く萩原を分けて日が暮れたと詠んだ歌と通じ、ここでは日が暮れた後も月の光によって野の花を見続けられる喜びを、反実仮想の形で詠んでいる。
初句「月なくは」は、もし月がなかったならば、の意で、仮定条件を示している。
二句「暮れば宿へや」の「暮れば」は、日が暮れたならば、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
三句「帰らまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、帰ってしまっただろうか、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「野辺には花の」は、野辺には花が、の意である。
結句「盛りなりとも」の「とも」は逆接の仮定条件で、盛りであったとしても、と三句の内容を倒置で補っている。
やど:住まい、家
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月澄むと荻植ゑざらん宿ならば あはれ少なき秋にやあらまし
- 次の歌
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花の頃を影に映せば秋の夜の 月も野守の鏡なりけり