- 歌の意味
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置いた露をそのままに、こぼさないようにして折り取ろう。月の光の中で、小萩の枝で鳴く松虫の声もろともに。
- 鑑賞
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秋歌 394
詞書は前の歌に続き「月前虫」
前歌に続いて「月前虫」の題で詠まれた歌である。月の光の中で、小萩の枝で鳴いている松虫の声ごと、その枝に置いた露をこぼさないようにそのまま折り取ろう、と詠む。月光、露、萩、虫の声という秋の美しさを、そのまま手もとに持ち帰りたいという願いを表している。
露をこぼすまいとする心は、本巻の第二百六十五首の「荒くは分けじ萩の下露」とも通じ、ここではさらに、月の光と松虫の声までも、露とともに折り取ろうとしている。
初句「露ながら」の「ながら」は、〜のままで、の意で、露を置いたままで、の意である。
二句「こぼさで折らん」の「で」は打消の接続助詞、「ん」は意志の助動詞「む」で、こぼさずに折り取ろう、の意である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「月影に」は、月の光の中で、の意である。
四句「小萩が枝の」は、小さな萩の枝の、の意で、「小」は接頭語である。
結句「松虫の声」は体言止めで、折り取ろうとする枝で鳴く松虫の声を示し、露とともに声までも折り取ろうとする心を示して結ぶ。
こはぎ:小さな萩
まつむし:秋に鳴く虫の一つ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月の澄む浅茅にすだくきりぎりす 露の置くにや秋を知るらん
- 次の歌
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わがよとや更けゆく空を思ふらん 声も休まぬきりぎりすかな