世の中の憂きをも知らで澄む月の
影は我が身の心地こそすれ
- 歌の意味
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世の中のつらさも知らずに澄んでいる月の光は、世を捨てたわが身のような心地がすることだ。
- 鑑賞
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秋歌 401
詞書「寄月述懐」
詞書「寄月述懐」は、月に寄せて自分の思いを述べることを詠む題である。ここから同じ題の歌が六首続く。世の中のつらさなど知らぬように澄みわたっている月の光は、世を捨てて憂き世から離れた自分の身のように思われる、と詠む。世俗を離れて澄む月に、出家した自分の姿を重ねている。
前歌までの月の歌が月の美しさや月を見る心を詠んできたのに対し、ここからの一連は、月に託して自分自身の生き方や思いを述べている。
初句「世の中の」は、この世の、の意で、二句の「憂き」にかかる。
二句「憂きをも知らで」は、つらさをも知らずに、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
三句「澄む月の」は、澄みわたる月の、の意である。
四句「影は我が身の」の「影」は月の光の意で、月の光は自分の身の、の意である。
結句「心地こそすれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「すれ」で結ぶ係り結びで、自分の身のような心地がすることだ、と強めている。
うし:つらい、憂鬱である
じゅつくわい:自分の思いを述べること
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いにしへを何につけてか思ひ出でん 月さへ曇る世ならましかば
- 次の歌
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世の中は曇り果てぬる月なれや さりともと見し影も待たれず