世の中は曇り果てぬる月なれや
さりともと見し影も待たれず
- 歌の意味
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世の中はすっかり曇ってしまった月なのだろうか。それでもいつかはと期待して見ていた光も、もう待つ気になれない。
- 鑑賞
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秋歌 402
詞書は前の歌に続き「寄月述懐」
月に寄せて思いを述べる一連の二首目である。世の中というものは、すっかり曇り果ててしまった月のようなものなのだろうか、それでもいつかは晴れるだろうと望みをかけていた光も、もう待つ気になれない、と詠む。世の中を曇った月にたとえ、世の中に望みを失った心を述べている。
前歌が澄む月を世を捨てた自分に重ねたのに対し、この歌は曇り果てた月を世の中そのものに重ねている。澄む月と曇る月、出家した自分と俗世とが二首で対をなしている。
初句「世の中は」は、この世の中というものは、の意である。
二句「曇り果てぬる」の「果つ」は、すっかり〜しきる、の意で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。すっかり曇ってしまった、の意である。
三句「月なれや」は、月なのだろうか、の意で、已然形に疑問の「や」が付いている。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「さりともと見し」の「さりとも」は、そうであっても、それでもいつかは、の意で、望みをかけて見ていた、の意である。
結句「影も待たれず」の「れ」は自発の助動詞で、光も自然と待たれることがない、もう待つ気になれない、の意である。
さりとも:そうであっても、それでもいつかは
はつ:すっかり〜しきる、終わる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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世の中の憂きをも知らで澄む月の 影は我が身の心地こそすれ
- 次の歌
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厭ふ世も月澄む秋になりぬれば ながらへずはと思ふなるかな